不妊・去勢手術
不妊・去勢手術とは?
不妊(雌)では卵巣(および子宮)を摘出する手術、去勢手術(雄)では精巣を摘出する手術と なります。卵巣または精巣を摘出するので、永久的に妊娠する(させる)ことができなくなります。 また、これらの手術は全身麻酔で行いますので、絶対に安全な手術というわけにはいきません。
では、どうしてこれらデメリットにもかかわらず、不妊・去勢手術をを行った方がいいのか?
それはデメリット以上に疾病の予防、問題行動の抑制、寿命の延長などのメリットを得られるからです。
◆ メリット(目的) ◆
- 望まれない交配による妊娠を避ける
- 性ホルモンに関連した問題行動の抑制
- 発情徴候(出血、鳴き声など)
- スプレー行動、攻撃性、逃走癖(雄猫)
- マウンティング行動
- 偽妊娠(雌犬) など
- 性ホルモンに関連した疾患の予防≪メス≫
- 子宮蓄膿症(犬)
- 乳腺腫瘍
- 卵巣腫瘍 など
- 性ホルモンに関連した疾患の予防≪オス≫
- 前立腺肥大症
- 精巣腫瘍
- 会陰ヘルニア
- 肛門周囲腺腫 など
◆ デメリット(問題点) ◆
- 全身麻酔
- 不完全なけっさつによる出血
- 尿管のけっさつ
- 癒合遅延、術創の離開および自己損傷
- 子宮・卵巣の断端の肉芽腫
- 術中・術後の感染
- 縫合糸の感染・アレルギー反応
- 尿失禁
- 皮膚病・外観の異常
- 体重の増加(肥満)
- 特定の疾患の発生率の増加
※これらの多くは細心の注意で予防できます
不妊・去勢手術の実施時期
当院では以下の理由から、犬および猫で6ヶ月齢前後での実施が適切であると考えています。
1.犬では初回発情前に、猫では6ヶ月以前に不妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率が低くなる。
初回発情前の卵巣摘出、初回発情後の卵巣摘出、2回以上発情した後の卵巣摘出では、乳腺腫瘍の発症率はそれぞれ、0.5%、8%、26% とされており、早期に卵巣を摘出するとその発症率が低くなることが明らかにされています。
(ちなみに、犬の乳腺腫瘍は全腫瘍の約30% を占め、その内の半分は悪性腫瘍)
また、猫においても、6 ヶ月前に不妊手術を行った猫では91%、1 歳までに行った猫では86%、非避妊メスに比べて乳腺癌の発症リスクの減少が明らかとなりました。
(ちなみに猫の乳腺腫瘍は全腫瘍の17% ですが、その80 ~ 90% が悪性腫瘍)

2.早期に実施することで、問題行動の学習を防止することが出来る。
スプレー行動やマウンティングなどは性ホルモンによるものではありますが、これらの行動は「学習」によるものも関係してきます。そのため、これらの行動の「学習」期間が長いと、不妊・去勢による性ホルモンの分泌がなくなっても行動を抑制することが困難になってしまいます。
3.早期の若齢期では問題点のリスクが高まる。
肝臓の代謝能力、腎臓の排泄機能などが未熟なため、若齢期では麻酔のリスクが高まります。また、生後3 ヶ 月以前の不妊手術では、尿失禁を起こすリスクが高まるという報告もあります。